2.介護現場における利用者からのハラスメント防止対策について(上原)本市では、介護人材確保のた…

2.介護現場における利用者からのハラスメント防止対策について
(上原)
本市では、介護人材確保のため、住宅手当補助や研修費用の給付を行う「カイゴdeコウベ」という事業を実施し、一定の成果が上がっていると評価しております。
しかし、介護事業により職員数が増えているため、最新の厚生労働省調査でも、介護職員の離職率は14%と、他の職種並みに下がってきているようには見えますが、厳しい職場環境が改善されているとは言えません。
そこで、利用者からのハラスメントにあった介護職員がどのぐらいいるのか、独自アンケートをしたところ、回答された方の半数が何らかのハラスメントを経験されており、平成26年度に県で実施された調査結果から、ほとんど改善されておりません。
受けたハラスメントの内容は、多い順に、暴言、暴力、サービス外の強要、セクシャルハラスメント、嫌がらせ となりますが、その頻度が毎日という方が30%以上もいるということに胸が痛みました。
介護サービスの利用者が認知症の場合、ハラスメントの認識ができないケースもあるでしょうが、そうでない利用者からの悪質なハラスメントの現状も多くあります。
寄せられた声を一部紹介しますと、「小突かれた」「男性利用者からの本気の蹴り」「グーで殴られる」「介護士の腕を振り払う」「ヘルパーの人格否定、外見否定」「必要以上の長電話でのクレーム」「職員の悪口を言いふらす」「調理サービスの際、同居家族分も要求される」「利用者の家族から、隠しカメラで撮影され、手際の悪さを指摘される」「体を触られた」「後ろから抱きつかれた」「不意を突いて股に手を入れられる」「立てないふりをして移乗を強要し、胸に顔をうずめてくる」「入浴介助時に性処理を強要された」など、特に訪問介護は7割が女性職員なので、耐え難いハラスメントにより離職してしまう方も多い現状です。
そこで、平成30年1月から県市協調で実施している訪問看護師、介護士向けの安全確保、離職防止のための補助金があるのですが、利用実績は、2人体制への補助が令和3年度3件、令和4年度は0件と、ほとんど利用されておりません。
また、今年度からハラスメント防止のため、ICレコーダーを購入する際、事業者負担3分の1で済む県市協調の補助事業もありますが、全く利用されておりません。
しかし、訪問介護の現場では、ハラスメントをする利用者宅へのICレコーダーを携帯することがあると聞いていますので、需要がないわけではありません。
つまり、そもそもハラスメント防止のための取り組みに補助金があることを、介護事業所や職員に全く周知されていないんです。
今回アンケートにご協力いただいた介護事業所へも聴取したところ、知っている人は1人もいませんでした。
そこで、まずは本補助金の対象である、訪問看護、介護事業所に周知を図るべくチラシを送付すべきと考えますが、ご見解を伺います。

(久元市長)
利用者からのハラスメント対策は、介護現場で働く職員の安全を確保し、安心して働き続けられる労働環境を築くため、ひいては人材の確保、定着のためにも、対策が必要な課題と考えております。
事業者から、ハラスメントなどの困難ケースについて、あんしんすこやかセンターに相談があった場合、処遇検討会、カンファレンスを行い、対処方法や対策についてチームで検討しています。
さらに弁護士による相談窓口の設置、警備会社によるセキュリティシステムの導入経費や、2人訪問加算相当額の一部補助など、様々な観点から介護職員の安全対策を支援してきました。
これらの事業は、活用していただいてこそ意義があるものでありまして、今ご指摘の現状は、改善していかなければならないと考えております。
 改めて、周知の徹底を図りたいと考えておりますし、チラシの配布以外にも、どんな方法があるのかしっかりと検討し、良い取り組みを進めていきたいと考えております。

(上原)
本市の訪問介護事業所は600ヶ所余りしかないんですね。例えば100gまで封入できる140円の郵便料金でも84,000円あれば、全事業所に周知が図れます。
訪問看護師、介護士向けの安全確保離職防止のための補助金が設立されてまもなく6年。市内で数件しか利用されていないことの原因の検証もせず、市のホームページに載せている安心すこやかセンターに配布しているだけで、広報したと満足しているのでは、本当に訪問介護看護の安全確保、離職防止をする意識があるとは言い難いと言えます。
今回のアンケートで利用者からハラスメントを受けた際の対処法を聞いたところ、7割の方が我慢していると答えました。また、事業所やケアマネージャーに相談しても改善されないと答えた方もおられました。
悪質な利用者であれ、契約解除をすると、事業所の収入が減るので、介護職員に我慢を教える事業者がいることも事実です。
そこで、事業所への周知の際は、ハラスメント対策補助金のチラシが、介護職員全員にも見てもらえるように依頼すること。また、令和元年に作成した利用者向けのハラスメント防止啓発チラシも同封し、利用者に手渡すことはもちろん、事業所に掲示するように求めるべきと考えますが、ご見解を伺います。

(小原副市長)
繰り返しになりますが、ハラスメント、これをいかに防止していくかっていうのは特に訪問介護看護については非常に重要なことが考えております。これまでもいくつかまだまだ不十分な取り組みではございますが早くから取り組んできたところでございます。
今回、それはまだまだ利用実績が上がっていないというところについては真摯に反省しなければならないと考えておりまして、ご指摘いただきましたように、例えば郵送も含めてですね、展開を考えていきたいと思っておるところでございます。
こういったことをですね、いかに未然に防止していくかっていう観点で、既にもうハラスメントに関する防止のチラシを元年度から作成していますが、これを、事業者がサービスの契約時に利用者の方々と契約するときにおいてですね、利用者に対してこのチラシを直接提示して、事業者と利用者との間でハラスメントについての共通の認識を持っていただく、こういった取り組みをしたところ、事業者の方からも、一定の効果があったというふうなお声もいただいております。
こういったことは今後も工夫しながら、なおかつそのチラシにつきましても、今は身体的なもの、精神的なもの、それからハラスメントこういったものについて記載しておりますけども、例えば、イラスト等を活用するとか含めてですね、あの工夫しながら対応していくことが重要だと思ってるところでございます。
いずれにいたしましても、こういった取り組みが、当然のことながら事業者の方にもお伝えしなければいけませんし、そこで働いておられる、ヘルパー的な対応されてる職員の方々に、きちんと伝わるように、特にこの事業者、それから実際に働かれている職員の方々からのご意見も伺いながら工夫していきたいと考えているところでございます。

(上原くん)
利用者からのハラスメントの中には、ICレコーダーで録音できない、つまり音が出ないハラスメントが多くあります。その際例えば携帯できる録画機能付きの機器であれば、証拠として有効なんですけれども、補助対象になっていません。
県にも確認したところ、肖像権の問題で対象にできないということなんですけれども、被写体本人から許可を得ている場合は、肖像権芯材侵害にはならないということです。
そこで、ハラスメント防止啓発チラシには、「ハラスメントの疑いがある場合、断りなく録画録音することがあります」というふうに文言を記載していただいて、必ず利用者に手渡すことと、また、入浴時には録画機は使わないということと、利用開始時などに利用者から了解を得た上で、録画機を購入する場合は、補助対象になるように県に要望して、実効性のある介護職員へのハラスメント防止対策にできないでしょうか。

(小原副市長)
今まで、音声ICレコーダー等の音声での対応という部分については、あの実態等は把握できてるわけでございます。この録画機能付のこの機器の利用という部分については、当然のことながらプライバシーの問題等もあるんですけども、事業者の方、事業団体の方からもですね、やはりこの利用者のプライバシー侵害っていうことも含めて、トラブルに発展する可能性が非常に高まるということで、非常に危惧されているところでございます。やはり慎重に研究していく必要があると考えておりますし、県の方も今のところは同じような考え方をとっているところでございます。
一方で、じゃあどうやって防止をしていくんだということで、今まで複数の介護者で対応する場合について、基本的には複数で対応しますと事業費が増えますので、その方の例えば1割負担も増額される形になります。その了解が取れない場合については県市の補助を充てるということで、今まで神戸市内でも4件の実績があります。
ただ、今後についてはですね、その確認を取ることがトラブルに発展する可能性があるということであれば、そういったものについても補助の対象にしていくことで、防止に働きかけられないかということについて検討、協議し、まもなくそれを実行しようとしているところでございます。

(上原)
そもそもやっぱり6年間やって4件しか使われていないっていうのは、やはり何か問題があると思うんですね。周知の問題であったり、やはり事業者の負担の問題もあると思いますので、そのあたりは事業者にしっかりヒアリングしていただきたいと思います。
この補助事業なんですけれども、対象となっている中に、警備保障会社によるセキュリティシステム導入に必要な機器購入費、先ほど久元市長おっしゃいましたけれども、ただし、基本料金や月額料金は対象外とあります。
つまり、介護、訪問介護や看護の際にハラスメントを受けたら警備会社が駆けつけてくれるような機器を購入する補助なんですけれども、瞬間に行われるハラスメントで、それが防げると思われますか。私は全くそれは考えにくくて、利用実績は当然ありません。
県主体の事業とはいえ3分の1の同額補助している事業なんで、実態に即してない内容は是正を求めていき、有効な補助事業にすべきと考えますが、ご見解を伺います。

(小原副市長)
この安全確保対策事業につきましては、やはり実態に合わせてより使いやすい制度にしていく、こういった点については当然事業者の方々のご意見等もお聞きしながらですね、随時見直しを、これまでも行ってきたところでございますし、これからも当然行っていく必要があると考えております。
今ご紹介できましたICレコーダーの分についてもですね、一部事業所の方からもそういったご要望もあってですね、制度設計をしたわけでございますが、また実績が伸びていないということ、それから先ほどありました対象の事業所についてもですね、訪問事業者だけではなくてですね、小規模多機能型の居宅介護事業所等も対象にしてほしいというお声がありまして、そうした改正も行ったところでございます。
また、先ほどご紹介しましたように、利用者によってはその同意の打診すら困難であるようなケースについてもですね、補助対象にして対応する予定としているところでございます。
今後もですね、実際その利用される事業者の方、それから実際そこで働いてるワーカーの方々含めてですね、ご意見等を伺って、見直し等についても柔軟に対応していきたいと考えております。

(上原)
介護現場で小型録画機を携帯できたらハラスメントが改善する、不安が軽減されると、7割の方が答えられました。また、購入補助があれば83%以上の人が使いたい、職員に持たせたいと回答されました。
ぜひ、県への働きかけも、どうしたら録画機とかを導入できるか、補助対象にできるかということについても検討していただきたいと思います。