今日から建設防災委員会の視察に来ています。

今日から建設防災委員会の視察に来ています。
まずは千葉市の救急情報システム「スマート119」
神戸市でも同様システムか来年度から導入されます。

日時: 2025-10-30 13:49:37
場所: [千葉市消防局警防部救急課]
講師: 橋村様
📝 概要
本講義は、千葉市消防局救急課の橋村氏による、市で独自に開発・運用している救急情報システム「スマート119」に関する説明である。神戸市が同様のシステムを導入するにあたり、千葉市の事例として、システムの概要、導入背景、費用、具体的な機能、そして導入による効果と現状の課題について詳細に解説された。システムの目的は、円滑な救急搬送の実現と、救急現場と医療機関間の情報共有を強化することにある。特に、一斉照会機能や重症事案への迅速な対応フローを通じて搬送先決定時間の短縮を目指すとともに、報告書作成の事務負担軽減といった効果も示された。一方で、医療機関側の人手不足や院内体制の違いによるシステム利用率のばらつきが課題として挙げられ、今後の対策についても言及された。
🔖 知識点
1. 千葉市の救急体制とシステム導入の背景
- 千葉市の消防救急体制と医療環境
- 人口は約98万人。消防体制は1局6消防署、19出張所で構成。
- 装備として、救急車の他に航空機ヘリコプター2機と消防艇1艇を運用。
- 医療圏は千葉市単独で構成され、三次救急医療機関が45施設、二次救急医療機関が27施設ある。
- 救急出場件数の推移と課題
- 救急出場件数は増加傾向にあり、平成27年の54,000件から令和5年には約70,000件へと増加。
- 政令指定都市の中で「平均医療機関照会回数」と「平均現場滞在時間」の数値が悪く、搬送先が決定しにくいという課題を抱えていた。この状況を打開するためシステムが導入されたが、依然として改善の余地がある。
2. 救急情報システム「スマート119」の詳細
- システムの導入経緯とスケジュール
- 現在運用しているのは第3期のシステムで、スマート119株式会社が開発。第2期・第3期は「スマート119」を活用している。
- 第3期システムは令和5年度に開発され、令和6年4月1日から5年間の契約(令和11年度末まで)で運用を開始。スムーズな移行のため、新旧システムを1ヶ月間並行運用した。
- システムの全体像と構成
- クラウド上のサーバーを介して、指令センター、救急隊、医療機関、市の他システム間で情報をリアルタイムに共有する仕組み。
- 費用: 開発委託費として前年度に4400万円。ランニング費用として、閉域網(IPv-VPN)を利用したシステム連携のための通信運搬費、年間約2000万円の使用料、月額約20万円のタブレット端末賃貸借料がかかる。
- 導入端末: 第2期のAndroid端末から、操作性や解像度向上のためiOSで再開発し、iPad 9を導入。
- 協力医療機関
- 協力医療機関は千葉市内11機関、隣接の四街道市1機関の計12機関。市全体の救急搬送の約75%をカバーしている。
- 予算の都合上、配備端末は10台程度であり、受け入れの多い医療機関から優先的に協力を依頼。協力機関には3次救急を担う2施設と、2次救急(2.5次含む)を担う医療機関が含まれる。
3. システムの機能と利用フロー
- 指令センターとの連携機能
- 119番通報の内容が自動的に救急隊のタブレット端末に反映され、出動と同時に傷病者情報を確認できる。
- 2つの主要な利用フロー
- 一斉照会フロー: 救急隊が医療機関に2回電話しても搬送先が決まらない場合に、複数の医療機関に傷病者情報を一斉送信する機能。医療機関への過度な通知を防ぐため、3回目以降の照会で利用する制限を設けている。
- 重症対応フロー: 重症事案と判断した場合、現場へ向かう途中で近隣の高度医療機関に情報を先行共有・照会する。現場到着前に搬送先が決定することもあり、時間短縮に非常に有効。
- 情報共有と照会の流れ
- 救急隊はタブレットで傷病者情報を入力。免許証等を撮影して文字を自動入力するOCR機能や、音声入力も活用。
- 救急車内のバイタルモニターから血圧等のデータが自動連携される。
- 腹痛の部位を示す図や、現場・傷口・心電図などの写真を撮影し、医療機関と共有。
- 医療機関は受信した詳細情報を見て受け入れ可否をシステム上で回答。救急隊は回答を確認し、搬送先を決定後、電話で最終確認を行ってから搬送を開始する。
- 報告書システムとの連携
- 現場でタブレットに入力した情報の約9割が、市の事務システムである救急活動記録(報告書)に自動連携される。
- これにより、従来複数のシステムをまたいでいた報告書作成・決済業務が一元化され、救急隊員の事務負担が大幅に軽減された。
4. システム導入の効果と実績
- 搬送関連時間への定量的効果
- 照会時間短縮: 3回目の照会で搬送先が決まった場合、システムで「可能」と回答を得たケースは、電話のみの場合より約6分早く決定した(令和4年10月データ)。
- 電話時間短縮: 1件あたりの平均電話照会時間が約1分短縮された(令和元年比)。
- 救急搬送困難事案の減少: 照会4回以上かつ現場滞在30分以上の「救急搬送困難事案」が減少傾向にあり、システムがその一因と示唆される。
- 事務負担軽減と情報共有効果
- 救急隊員へのアンケートでは、約300人中240人が事務作業時間が「軽減した」と回答。
- 医療機関の回答率は7〜8割に達する施設もあれば、閲覧のみの施設もあり利用度にばらつきがある。しかし、システムで回答が得られない場合でも、電話照会の際に「システムで送った情報を見てください」と伝えることで、口頭での詳細な説明が不要になり、照会時間の短縮に貢献している。
5. システムの課題と今後の対策
- 医療機関における利用のばらつき
- 救急隊にとって有益な一方、医療機関側の利用度に大きな差があることが最大の課題。
- 原因1(人手不足): 救急外来が多忙で、システムを確認する専任スタッフを配置できず、リアルタイムでの回答が困難。
- 原因2(院内手順の違い): 電話の一次対応者が医師、看護師、事務員など医療機関によって異なり、意思決定者が直接タブレットを確認できない場合がある。
- 今後の対策
- 事業者と連携し、各医療機関へのヒアリングを実施して個別の課題を抽出する。
- ヒアリング結果に基づき、運用面での改善提案を行う。
- 市の救急搬送の厳しい現状といったシステム導入の背景を改めて説明し、医療機関への継続的な協力を求めていく。

- 4. システム導入の重要性や背景を医療機関に改めて伝え、より積極的な利用と協力を要請する。